二転びめ ~一歩先ではなく、一歩後ろから~

こんにちは
最近ドライな娘(のり・8歳)脳腫瘍サバイバーの息子(たけ・6歳)の母、noritakeです。

前回「後悔する前に動く」と書いていたnoritakeですが、実は動き過ぎて後悔した事もありまして、今回は「ただ動けば良いってものじゃない」と反省した話です。

2度目の手術は、8時間にも及ぶ開頭手術でした。
主治医からは「腫瘍は大きかったけど、確認できる範囲は取り除けた」との報告。私は安堵と感謝で、オデコが膝につくほど深く、何度も頭を下げました。

しかし、その後の息子は原因不明の高熱が続き、意識も朦朧とした状態です。集中治療室で息子の覚醒を待つ間、息子に繋がれた機械からアラーム音が鳴るたびに怯えていました。

ようやく目が覚めたのは手術から2日後。
と言っても、瞼は腫れあがり、言葉も話せず、半身麻痺の状態でした。
術前に説明のあった想定範囲ではあったものの、現実となると愕然としました。
そして、母、ここから超のつく過保護になってしまったのです。

≪二転びめ≫
 母、先回りするべからず

目が覚めた息子は意識もハッキリし、徐々に右目は見えるようなりました。
すると、息子は何かを必死に伝えようとするのです。でも言葉は話せないし、体も動かない、だから母も必死で理解しようとしました。
息子の視線の先にある物をもって「これ?」「あれ?」「痛いの?」「オシッコ?」と何とか息子の伝えたいことを探るうち、そこは母です。なんとなくわかるようになりました。
首を縦に振ったり瞬きをすればアタリ、横を向いたり目を瞑ったままだとハズレ、という具合です。

そんなある日、リハビリの先生に呼ばれ


「お母さん、お母さんが何でもやり過ぎると、
息子さんは自分でやる必要を感じず、
何もしないままになってしまいます。」
と言われました。

最初は(何を仰る、母親がしなかったらどうなる⁈)とカチンときましたが、落ち着いて考えると確かに私の行き過ぎた世話で、息子は喋れなくても大丈夫な状況を作ってしまっていたのです。
母親として息子が困らないようにと先回りするが故、息子は自分で努力する必要がなくなり、母親として良かれと思ってやった事が、逆に息子の自発的な回復を妨げていたのです。

≪二起きめ≫ 
母、待つ時は待つべし

次の日からは「手伝う(一歩先)」ではなく「見守る(一歩後ろ)」を心がけました。
そして今まで付き添っていたリハビリも、息子のみで行う事になりました。
息子は母の変化に大いに不満です。(なんで今までやってくれてたのに、やってくれないの?)と、目で訴え言葉にならない癇癪を起こし、動き始めた左手でひたすらベットの物を落とします。

母、またそこでも至らなかった点がありまして…
これもリハビリの先生から言われて気付いたのですが「事前説明が必要」だったのです。
大人でもそうですよね、昨日まで当たり前にやってくれてた人が突然何もしてくれなくなったら
(なんで?)って思って当然です。ましてや、その時息子はまだ言葉も戻ってなかったんですから。
リハビリの先生は息子の回復と、母親の指導の両方を担ってくれました。

でも、目の前で困ってる息子を見守るだけなんて母には苦痛で、手伝う方がよっぽど楽でした。
だけど、それは自己満足で息子のためにならない。だから心を鬼にして手出し口出ししたい気持ちを抑え、ひたすら見守りました。そしてできた時には一緒に喜び、できない時はほんの少しだけ手伝って、あとは待つに徹しました。

いやはや、子どもの適応能力はすごいですね。
「う、う」から始まり、「ポ」と言えるようになったと思ったら、その日のうちに「ポテト」と聞き取れるまでになりました。母、久しぶりの息子の言葉が嬉しくて嬉しくて、さっそく先生に許可を貰いUber eatsでマックのポテトを注文しました。
息子は最初は不満ながらも、日に日にできる事が増えるとリハビリも楽しむようになりました。

退院した今も心がけててる事があります。それは


・子どもが自分の言葉で話すのを待つ事
・やり始めた事は手を出さずに見守る事
・一歩先で手伝うのではなく一歩後ろから見守る事

親は子どもが失敗しないように手伝うのではなく、失敗から学ぶのを見守る役なんですね。
治療後のリハビリでは親子共に学ばなければ、互いに成長が止まってしまうと教えられました。

私は今でも遅いと手を出したくなるし、返事を待たずに決めつけてしまったり、自分でやった方が早いとか思ったり、頭ではわかっていても一歩先回りしたくなりがちです。
でもそれは親のペースであって、子どものペースではないんですよね。子どもが自分の経験から学ぶのをドンと構えて、一歩後ろから見守れるよう修行中です。

何度転んでも立ち上がれば、子どもも親も強くなる!
読んで頂き、ありがとうございました♬

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